テレビの購入で「結局これはどんな大きさなんだ!」とかボウリングのボール選びで「結局これの重さは何なんだよ」と感じたことがある方も多くいらっしゃると思います。そもそもなぜ同じ長さや重さを指す単位が複数存在するのでしょうか。
今回は【インチとセンチ】、【グラフとポンド】それぞれの違いを歴史的背景も含めてまとめていきます。
インチとセンチ
同じ「長さ」を表す言葉にヤード・ポンド法の【インチ】とメートル法の【センチ】があります。1インチは何センチなのかという疑問の答えは【1インチは2.54センチ、1センチは約0.39インチ】です。1951年に国際インチが採用される前は国によって長さがまちまちだったため、1インチ=“約”2.54センチとされていました。
インチの歴史
インチの起源は古代ローマ時代まで遡るそうです。当時は、男性の親指の幅に由来する身体尺で、「uncia(ウンキア)」という単位が使われており、後に英国で「inch」という単位が生まれました。
センチの歴史
センチメートルを含むメートル法は、18世紀末のフランスにおいて、世界共通の統一された単位制度の確立を目指して制定されました。当時の世界には同じ物理量に対してインチなど様々な単位、その単位内でも明確な量、長さなどの定めがありませんでした。そこで、フランス革命後の1790年3月に、国民議会議員であるタレーラン=ペリゴールの提案によって、世界中に様々ある長さの単位を統一し、新しい単位を創設することが決まり、メートル法の設定がなされました。
グラムとポンド
続いては重さを表す単位【グラム】と【ポンド】の違いをまとめていきます。
まず、1ポンドはなんグラムかと言う疑問に関しては、1オンスは約28.35グラムで、1ポンドは約453.6グラムです。ボウリングで12ポンドは5,443グラム(5.4キログラム)と言うことになりますね。
ポンドの歴史
歴史的には、メソポタミア地方で大麦1粒の重さを元にグレーン(ポンドの7000分の1の単位)が定められ、その後ポンドが定められました。つまり、人間が1日に消費する食糧としての単位であり、1ポンドの製粉によって焼かれたパンが1日分の主食量に相当していたようです。
重さの設定に関して、エリザベス1世の時代、1584年に法律で1ポンド = 7000グレーン = 16オンスと定められるまで、紆余曲折がありました。そしてこの換算値はエリサベス1世の時代から今日まで常用ポンド (avoirdupois pound) と言い統一されています。
現代社会でヤード・ポンド法を重用しているのはアメリカだけ
世の中広しといえどもヤード・ポンド法を用いているのはもはやアメリカだけと言う状況です。農場や工場、スポーツのコートのほか、スーパーやキッチンにおいてもヤード・ポンド法の単位が使われています。単位換算がわかりやすいメートル法に対して、ヤード・ポンド法の単位換算は非常にややこしく、様々な単位があり、非常に難解です。さらにメートル法は世界標準の単位系ですから、いくらアメリカが突っぱねたとしても使わないわけにはいきません。そのためジュースはリットル表記、牛乳はガロヤード・ポンドドドド標ヤード・ポンドンドンドンドトルを併記するなど、2つの単位がごちゃ混ぜになっています。
単位がいくつもある結果起きた悲惨な事故も
1998年11月に地球から打ち上げられますが、1999年9月23日に起きた航行ミスにより、交信が途絶え、行方知れずになってしまうNASAの「マーズ・クライメイト・オービター」の事故が発生しました。この航行ミスの原因は「ヤード・ポンド法の単位で行われていた計算結果を、探査機の航行担当チームがメートル法の単位だと思い込み、換算をしないまま使用したこと」だったそうです。
最後に
今回は【インチとセンチ】、【グラフとポンド】それぞれの違いについてまとめてきました。基本的には全世界でメートル法が用いられていますが、アメリカだけは(対面を気にしてか)ヤード・ポンド法を重用しているようでした。
特にアメリカへ旅行する際は単位の違いに要注意ですね。