日々ニュースなどで「円高」や「円安」というワードを耳にする機会も多いと思いますが、みなさんは円高と円安についてしっかりと理解しているでしょうか。
もしかすると「なんとなく意味はわかるけど詳しいことまでは…」や「円高と円安どっちがどっちかわからない」という人も少なくないかもしれません。
今回は、そんな円高と円安の覚え方や、それぞれのメリット・デメリットについてを詳しくご紹介していきます。
円高・円安ってなに?
為替と聞くと、日本円を海外の通貨に両替や、FX(為替トレード)などをイメージする人もいるかもしれませんが、為替は企業や投資家だけではなく私たちの生活にも深く関係してきます。
これまであまり意識してこなかった人達のためにも、まずは円高と円安とはどのようなものなのかを解説します。これを理解することにより為替や世界・日本経済に対しての理解度が向上するので是非覚えましょう。
円高とは
まずは円高ですが、これは「日本の法定通貨である日本円の価値が、他の国の外貨の価値に比べて高い」状態を指します。
例として、前日に「1ドル=140円」だった為替レートが今日になって「1ドル=130円」に変動すると「昨日に比べて円高になった」状態となります。
ここで注意しなければならないのが、「140円から130円になったのなら10円安くなっているから円安では?」という誤解をしている人が多くいます。
しかし、昨日は1ドルと交換するために必要だった日本円は140円でしたが、今日は1ドルに交換するには130円で済みます。つまり、差額の10円分だけ円の価値が上がったと言えるため「円高」となるのです。
円安とは
逆に円安は、「日本の法定通貨である日本円の価値が、他の国の外貨の価値に比べて安い」状態です。
円高とは反対に、前日に「1ドル=140円」だった為替レートが今日になって「1ドル=150円」に変動すると、差額の10円分だけ「昨日に比べて円安になった」となります。
日本はここ数年で一気に円安が進んでいるとニュースなどでよく耳にしますが、今から5年前の2020年頃は1ドル=120円ほどだったものが今現在(2025年5月)1ドル=145円と、約25円もの円安が急激に進んだことで話題となっています。
円高と円安の覚え方
円高・円安の意味をそれぞれ理解していただいたところで、円高と円安の覚え方について解説していきます。
他の国の通貨との相対評価
そもそも通貨の価値というのは「相対評価」で決まっており、仮に日本円が”円高”になったということは、その分だけ他国の通貨の価値が下がったということになります。
分かりやすいように、ニュースなどでよく耳にする通貨ペアの「ドル/円」を例として説明すると、通貨ペアの最初に書かれている方(ドル/円ならばドルの方)が評価の基準となり、「1ドルに対して日本円の価値」を表しています。
為替レートを意識すると覚えやすい
円高か円安かを考えるとき、「日本円の価値が上がったか、下がったか」を意識して見ることが大切です。
例えば1ドル=140円を基準として考えたとき、為替レートが大きく変動して1ドル=130円になった場合にはチャートは下落した形をしています。つまり、ドルの価値が下がり円の価値が上がった状態となるため、”円高”になったというわけです。
逆に1ドル=150円に為替レートが上昇した場合、ドルの価値が高まり円の価値が下がったことになるので”円安”ということになります。
為替レートのチャートが見るときには、単純に「チャートが上昇していれば円安、下落していれば円高」と覚えるのが一番簡単かもしれません。
そしてこれは米ドルのみならず、ユーロやポンドといった他の通貨であっても同様です。
円高のメリット・デメリットとは
まずは円高のメリットとデメリットを見ていきましょう。
円高のメリット
円高になると同じ金額でもより多くの外貨と交換することができます。空港などでの両替が安いレートで交換できるため、海外旅行に行きやすくなります。
また海外製品の価格も安くなり購入しやすくなり、海外から原料を輸入している企業もコストが抑えられるため業績向上が見込まれます。
円高のデメリット
円高の主なデメリットとして、日本円に対しての外貨の価値が下がってしまうため、投資家などが保有している外貨(ドルやユーロなど)の資産価値が減少してしまいます。
また、日本の製品を海外に輸出し販売する際に価格が上がり、輸出品が買われにくくなってしまい国際競争力の低下に繋がります。
円安のメリット・デメリットとは
次に円安の場合のメリットとデメリットです。
円安のメリット
円安時のメリットとしては、日本円の価値が低下することから、海外からの旅行客を呼び込みやすくなります。また、輸出企業やインバウンド関連企業の業績が上がる、外貨で資産を保有している投資家は利益を上げやすくなる特徴があります。
円安のデメリット
一方で円安のデメリットは、輸入品の購入価格が高くなりやすいことや、海外旅行・海外留学の費用が増えて行きにくくなる点です。
消費者のみならず、企業も輸入コストが増えるため、業績の低下や商品の値上げなどにつながる恐れがあります。
円高と円安はどちらがいい?
これまで解説したように、円高と円安それぞれのメリット・デメリットがあり、どちらが良いのかは状況によって異なってきます。
円高が続くと、輸出企業は海外で日本製品を販売しやすくなりますが、逆に輸入品は高くなってしまい消費者の負担が大きくなってしまいます。
また円安が進むと、海外製品や材料を海外から輸入している商品は価格が下がり購入しやすくなりますが、輸出している日本製品は海外での販売価格が高くなるため売れにくくなり、企業にとっては不利になります。
そのため、円高・円安どちらか一方に大きく傾くのではなく、安定した為替相場が望ましいとされております。
まとめ
ニュースなどでよく耳にする「円高」と「円安」は、どっちがどっちか迷ってしまう人も少なくないと思います。
今回ご紹介した円高と円安の覚え方を参考にし、それぞれのメリット・デメリットを理解しながら少しだけ意識して経済ニュースを見てみると、今の日本や世界の経済状況がわかるようになるので面白いかもしれませんよ。